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2021-07-20 9:38

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【キーマンに取材】アクサ式の持続可能な健康経営とは?

アクサ生命保険株式会社はOur Purposeとして「すべての人々のより良い未来のために。私たちは皆さんの大切なものを守ります。」を掲げています。このような価値観に基づいて、生命保険会社としての社会的責任を果たす上での重要な施策として、健康経営の普及啓発活動を推進し、2017年から5年連続で「健康経営優良法人・大規模法人部門ホワイト500」に認定されています。健康経営という言葉世の中に根付く前から業界を牽引していきた同社に健康経営を継続するポイントを伺いました。

アクサ生命保険株式会社
執行役員
アクサMCVP推進本部長
笠原 芳紀氏

銀行で企画業務、他生保で窓販企画・商品開発等の業務を合計20年経験した後、2012年アクサ生命入社。2014年よりお客さま企業向けの健康経営の推進に着手。2021年7月より執行役員本部長として健康経営等の推進を所管。

アクサ生命保険株式会社
HPM統括部
HPM統括部長兼HPM推進部長
健康経営エキスパートアドバイザー
日下 英樹氏

1990年日本団体生命(後にアクサと経営統合)入社。主に公務員団体や大企業の福利厚生制度の導入・推進を通じて団体保険の販売に従事。2020年7月より、これまで培った専門的な知識と福利厚生を担ってきた豊富な経験を活かし、企業・団体への「健康経営」推進を担当。

-本日はよろしくお願いします。はじめに御社で健康経営に注力されるようになったきっかけがあれば教えてください。-

日下さん:アクサ生命の前身企業のひとつは、現在の経団連と日本商工会議所が推進母体となり、昭和9年に設立した日本団体生命です。勤労者のための、団体生命保険の専門会社として、企業における福利厚生の普及・拡充を支え、日本の産業の発展に貢献して参りました。創業以来、常に社会課題と向き合ってきた歴史があり、この思いはアクサ生命にも受け継がれています。健康経営は社会課題を解決し持続可能な社会を作り上げることに資するもので、これを推進し実施企業をサポートすることが私たちの使命だと考え、2014年より取り組みを開始しています。

笠原さん:東京商工会議所では健康づくり・スポーツ振興委員会[1]の前身の国民健康づくり委員会で2011年から健康経営について調査研究を進められ、2013年には『健康経営のすすめ』というリーフレットで中小企業向けに健康経営の意義や取り組み方法をまとめられました。そこから弊社も健康経営を知ると同時に、我々の経営理念に合致した取り組みであり、2014年にお客さま企業向けの健康経営の取り組みをスタートするに至りました。

-健康経営の取り組みを開始した時期ではどのような活動をされていたのでしょうか?-

笠原さん:この当時、大企業では自力で健康経営を進める企業もありましたが、中小企業では経営資源の制約から、健康経営の取り組みは進んでいない現実がありました。日本再興戦略[2]改訂2014に健康経営という言葉が盛り込まれたのですが、中小企業での健康経営はあまり想定されていない状況にありました。そこで、中小企業のお客さまが多い当社としては、是非とも中小企業で健康経営を普及したいと考え、経済産業省、東京商工会議所と連携させていただきながら、2016年の健康経営アドバイザー制度の創設や中小企業における健康経営の普及啓発に微力ながら貢献させていただきました。

-まず健康経営を始める時には『健康経営優良法人』の認定を目指すのが一般的になっていると思っていまして、今では基準が明確になっているため、取り組みやすくはなっていますが、2014年の当初はどのようなお取り組みをされていたのですか?-

笠原さん:健康経営の啓蒙活動を進め、健康に無関心の方は7割もいらっしゃることが分かってきました。今健康でいらっしゃる方は、健康についてあまり意識しないんですね。健康経営は職域全員の方が対象になる取り組みで、全員が取り組んでいただく必要があります。健康に関心の高い方だけが、より健康になる取り組みではなくて、健康に対して無関心な方も巻き込んで進めることが重要です。

日下さん:私も社内で健康経営の取り組みがスタートした当時は営業部門在籍でした。2014年から2015年にかけて健康経営について様々なお客さまの前で説明した記憶がありますが、当時はまだ健康経営という言葉が一般的ではなく、健康は自己責任と考える企業経営者も多かったので、先ずは健康経営の基本的な考え方をお伝えすることに注力していました。

-健康無関心層が7割いるというのは日本全体でのお話でしょうか?それとも一企業ごとのお話になりますでしょうか?-

笠原さん:様々な調査・研究から、日本全体で共通していると考えています。厚労省の調査では7割の方が健診結果を認識していないことがわかっています。筑波大学久野譜也教授の研究でも7割ほどの方が運動習慣がないという結果が出ています。当社の調査でも7割の方が健康習慣に気を付けていない・どちらともいえないと回答されています。このように様々な切り口から、日本人の7割の方が健康に無関心であると考えています。悪い健康習慣を続けていると、40-50代から健康状態が一気に悪くなる可能性が高まります。そのため、今健康であっても健康づくりに取り組む必要があるのです。

-個人的には病気になった経験がない人に無関心な方が多いと思っているのですが、健康無関心層の方に特徴はありますか?-

笠原さん:共通しているのは、「自分ごと化」できていないことだと思います。今健康だと、将来のことに意識がいかず、健康のためのアクションを起こす動機を持てないのだと思います。

日下さん:病気になって初めて健康の大切さに気づく方が相応数いるのも事実です。また、不健康行動により健康を害しても自己責任と考えている方も一定数存在していると感じています。

笠原さん:健康経営を始めてすぐに参加されるのは健康意識の高い方が多いです。ですが、健康経営の本質としては健康意識の低い方も巻き込んで進めることです。インセンティブを出しても健康意識の低い方は動かないことが多いと考えています。

-やはり、お話を聞いていると健康は行き着くところは個人に落とし込まれると感じるのですが、企業としてはどこまでバックアップすべきだとお考えですか?-

笠原さん:それは、それぞれの企業のお考え次第だと思います。ですが、健康になるために健康経営を実施しましょうという発想は、経営者の方や従業員の方には全く響かないと考えています。なぜなら目的が違うからです。企業であれば事業の発展という目的、そして従業員の方であればご自身やご家族の夢や目標の実現に向けて、健康が手段として大切であるという、目的と手段を整理した考え方が必要です。なので、なぜ健康づくりが大切なのかについて企業ごとに考えていただくことからサポートしています。

日下さん:例えば健康経営の取り組みとして「毎日腹筋を100回行うこと」を目標に掲げても、苦痛となり取り組みは継続しません。健康になる目的をしっかり持つことが大切です。

-健康経営の代表的な指標は何になるとお考えですか?-

笠原さん:こちらも企業ごとに異なると思います。個人的な考えとしては企業にとっての最終的な指標は事業活動への貢献だと思います。従業員の健康状態の改善は中間指標だと思います。ですが、持続的に健康経営を実施して成果を出していくには、人を大切にするという経営者の想いが根底に必要で、その前提あってこそ持続的な取り組みと事業の発展につながると考えています。健康経営が良い意味で会社に浸透している目安としては、エンゲージメントの向上を見ていくのは良いかと思います。

-健康経営の目標としては何を掲げるべきでしょうか?-

笠原さん:こちらも企業ごとに変わると思いますが、強いて言うなら最終的には幸福だと思います。経営者がトップダウンで健康づくりを進めても、目指す方向が違うと続かないのが現実だと思います。

日下さん:従業員の方が安心して働ける環境作りも重要と考えています。自分を大切してくれる、その思いが従業員に伝わることで、モチベーションも向上し、企業の永続的発展にも繋がります。

-従業員の方に人を大切にしているという想いを伝えるという流れで伺わせてください。健康経営に関する周知を行うときの手段として、社内の掲示板で、テキストで伝えるだけでは気持ちまでは伝わりきらないと思っています。思いを伝えるために何か良い方法はあるのでしょうか?-

日下さん:健康経営を実践している企業経営者の多くは「従業員は大切な家族だ」と考えていらっしゃいます。その思いを経営者のメッセージとして直接伝えることが重要です。また、直接伝えることが難しい場合は、手紙のような形で伝えるのも良いと思います。いずれにしても経営者の想いをしっかり伝えることが、従業員の心を動かします。

-健康経営は組織改革という特徴を持っていると思っています。健康経営が企業のカルチャーに浸透しないという課題がよく上がるのですが、何か良い方法があれば教えてください。-

笠原さん:経営者が本気で従業員の健康と幸せを願い、そして、その想いを伝え続けることが大切だと思います。一人の人間が性格や趣味嗜好まで理解して繋がりを作れる数は150人ぐらいが限界と言われています。そういう意味では、中小企業の経営者の方々は従業員の人ととなり、趣味嗜好、家族構成まで熟知されているケースも多いです。ですので、中小企業は健康経営の効果が出やすいのです。例えば弊社は従業員数8,000名を超えておりますが、こうした規模の会社で経営者がメールで健康経営を実施しますといっても、なかなか伝わりません。本気で従業員と向き合いながら、心を込めて伝えていくことで、文化として根付いてくると考えています。また、VUCA[3]といわれる今の時代は、トップダウンだけで物事をうまく進めていくことは難しく、健康経営を含めて一人ひとりが自律的に考えて取り組んでいくことが大切だと考えています。

-健康経営を始めるにあたってまず何から始めるべきかアドバイスがあれば教えてください。-

日下さん:なぜ企業として健康経営に取り組むのか経営者の考えを明確にすることがスタートラインになると思います。

笠原さん:何を目指すのかという軸を作り、経営者がその目的を実現するための手段としての健康について本気で考えて取り組みを進めていけば、健康経営に対する理解も深まり、その企業のオリジナリティがある取り組みに発展させることができると思います。

-健康経営を普及させるための今後の目標やビジョンがあれば教えてください。-

日下さん:健康経営はまだまだ普及しきれていない側面があります。そのような中で、地方創生といった側面からも健康経営を更に普及させたいと思っています。全国の自治体の皆さまとの連携も深め、健康経営を発展させていきたいと考えています。

笠原さん:健康経営には医療費の適正化につながる側面もあります。たとえば食事をはじめとする生活習慣によって地域の健康課題は変わる傾向があり、自治体では地域の健康課題に合わせて、独自の取り組みを進めていらっしゃいます。健康経営は、企業の持続的な発展、人々の健やかで幸せな人生の実現に貢献し、更には地方創生や地域の健康課題への対応につながると考えています。是非とも全国の自治体の皆さまと健康経営の推進で連携し、そして持続可能な社会の実現に貢献していきたいと考えています。

注釈:

[1] 健康づくり促進のための知識の啓発・普及及び諸環境の整備などを調査研究する常設委員会のこと。
[2] 日本再興戦略(にほんさいこうせんりゃく)とは第2次安倍内閣による成長戦略のこと。
[3]「Volatility(ボラティリティ:変動性)」「Uncertainty(アンサートゥンティ:不確実性)」「Complexity(コムプレクシティ:複雑性)」「Ambiguity(アムビギュイティ:曖昧性)」の頭文字を並べたもの。

編集後記:

アクサ生命保険株式会社は日本の健康経営の土壌を作ってきた会社の一つです。健康経営の目的には多様性があり、様々な背景から始まります。取材を通して、今回のテーマである『健康経営を持続可能な取り組みにするためのポイント』は経営者の考えに基づく目的意識の明確化だと感じました。会社ごとに社会、企業、個人の軸から健康経営をする必要性を定義し、制度・施策へ移ることで、健康無関心層も取り込める取り組みになることを学ばせて頂きました。この度は取材にご協力頂きありがとうございました。

ビズヨガでは健康経営や従業員の健康増進に積極的に取り組まれている企業様に取材を行わせていただいております。取材を希望される企業のご担当者様は、下記よりお問い合わせ下さい。
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アクサ生命保険株式会社のコーポレートサイト
https://www.axa.co.jp/