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2021-01-26 18:00

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新しい働き方をデザインするメルカリ社のニューノーマルワークスタイルとは?

新型コロナウイルスの感染拡大以降、テレワークを進める企業が多くなっています。

株式会社メルカリはコロナ以前から社員一人一人が「Go Bold(大胆にやろう) All for One(全ては成功のために) Be a Pro(プロフェッショナルであれ)」の3つのバリューのもと「新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイスを創る」というミッションの実現に向け多様性のある組織作りを行っています。

コロナ禍に入ってからは社内で『ニューノーマルワークスタイル』という新しいワークスタイルの展開をしています。働き方のアップデートの推進を担うPeople Experience Teamに所属している打越拓也氏,幸野俊平氏のお二人にコロナ禍における組織づくりについて取材させて頂きました。

インタビュイーのご紹介

People Experience Planning & People Relation Team Manager
打越 拓也氏
新卒で社労士事務所に入所後、ソーシャルゲーム業界のベンチャー企業にて、労務機能の立ち上げや第2創業期の組織開発、コーポレート部門のマネジメントに従事。事業買収によるPMIの経験を経て、2018年に株式会社メルカリに参画。ワークスタイルや制度企画、グループ全体の労務案件を担当。

People Experience Payroll Team Manager
幸野 俊平氏
新卒で建設機械メーカーへ入社し、本社及び工場の人事勤労業務、オセアニアや東南アジア地域の海外駐在員管理に従事。2018年に株式会社メルカリへ入社後、組織拡大期におけるPayrollOperationの構築や効率化、福利厚生制度の企画・運用を主に担当。またグループ会社である株式会社鹿島アントラーズFCの労務業務支援も担当している。

-本日はよろしくお願いします。People Experience Teamとはどのような活動をしているのか教えてください。

打越さん:
People Experience Teamは、一般的な会社でいう人事企画・人事労務のチームで、制度企画や労務案件をPlanning & People Relationのチームで、給与計算などのオペレーションやその分野での仕組み化・制度化をPayrollのチームが行っています。

そして、withコロナ・Afterコロナの組織の在り方を考えるニューノーマルワークスタイルのプロジェクトが社内にあり、そこのオーナーを我々のチームが担っており、随時様々なチームやプロジェクトと連携しながら各種の取り組みを行っています。

-現在はリモートワークが中心なのでしょうか?

打越さん:
今は8割〜9割ぐらいの人が在宅で働いてます。去年一年間もほぼ同じぐらいの在宅の割合でした。

また去年の11月から約1ヶ月半は引き続き在宅を希望することもオフィスに出社することもできるハイブリッドな働き方の検証も行いました。

-在宅ワークでは生産性が落ちていると感じている人も多いようですが、課題として感じているものはありますか?

打越さん:
組織としての一体感や帰属意識を保つことは課題のひとつだと考えています。定期的に社内でアンケートを取っていまして、この部分の数値が徐々にですが低くなってきています。

オフィスは対面のコミュニケーションを活性化させるデザイン設計になっているので出社すると人との繋がりを強く感じますが、それがない在宅環境だと人との繋がりが薄れてしまうように感じます。これが一つの原因なのかもしれません。

-社内アンケートによる調査は独自に行っているのでしょうか?

打越さん:
そうですね。昨年の3月から5回実施しています。それとは別にエンゲージメントを調査するアンケートを実施しています。

例えば、ミッションへの共感、仕事のやりがい、バリューに基づく行動、パフォーマンス、心身の健康などを定期的に調査しています。

-4月から働き方のアップデートの必要性を感じ、7月にはプロジェクトを立ち上げるのって物凄いスピード感と対応力だと感じます。なぜ素早く臨機応変に対応していけるのでしょうか?

幸野さん:
まずコロナ禍となる前から我々のバリューである”Go Bold”,”All for One”,”Be a Pro”や、お互いを信頼し合うことを前提としたオープンなカルチャー”Trust & Openness”の浸透もあり、変化があってもそれを柔軟に受け入れるカルチャーはありました。

その上で多様性が高まる組織において、ハイコンテクストからローコンテクストでの組織作りを目指すという動きもあり、カルチャーや行動指針をはじめとしてあらゆるものがガイドラインで明文化され、暗黙知で動く組織から形式知を共有し動ける組織に変わってきていますので、スピード感を落とさずに変化出来る強みのひとつになっているかと思います。

打越さん:
メルカリの文化や社内で働く人たちのマインドはスタートアップですね。意思決定のスピードは早いです。普段の意思決定のプロセスは下から提案して物事を作っていくボトムアップ・ミドルアップですが、特にコロナ禍では一部トップダウンで進めたこともあり、より素早く対応することができました。

また、物事を主体的に進めることができる優秀な人材が揃っているので、走りながら、調整することができます。アジャイル開発のイメージです。これはメルカリの強みですね。今回の「ニューノーマルワークスタイル」もアジャイルな進め方をしています。

幸野さん:
打越の言うように自走できる社員が多いので、ガイドラインはありますが、個々の業務において細かいルールまで設けることは少ないです。自らで情報を取りに行きながら自律的かつ柔軟に組織が動いている面は大きいと感じます。

-「ニューノーマルワークスタイル」のプロジェクトの中で、計画している次のアクションプランなどあれば教えてください。

打越さん:
やっと課題が見えてきた状況なので、課題に対して社員一丸となって取り組むためにも、社内を巻き込んでディスカッションをしていきたいと考えています

-コロナ禍に入る前にはどのような組織づくりをしていたのですか?-

打越さん:
メルカリのミッション「新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイスを創る」を達成するために、社員一人一人がメルカリのバリュー「Go Bold(大胆にやろう) All for One(全ては成功のために) Be a Pro(プロフェッショナルであれ)」であることを大切にしています。

この三つのバリューが体現できる組織とは何かという観点から組織づくりをしています。

幸野さん:
人事施策の面ではmerciboxという福利厚生の制度があります。例えば、産育休や介護休職から復職する場合に、国からの給付金とは別に会社から復職一時金を支給する制度や、認可保育園に入園できず認可外保育園に入園する場合は、差額の保育料を会社が補助したりと社員が安心して出産や育児に専念できる環境を整えています。

妊活のサポートも行っていて、社員や社員の配偶者が不妊治療を行い高額な費用が発生した場合には、所得や年齢の制限なく、その費用を会社が一部負担するといった施策も行っています。

これらは社員個人の負担が大きく、働く上で発生する所謂ダウンサイドを会社が最大限サポートするという福利厚生ポリシーに基づいたものであり、これによって社員がより高いパフォーマンスを発揮することが出来る組織づくりに貢献していると思います。

-merciboxへ機能が追加される制度はアンケートなどの調査などを通じて、現場から吸い上げボトムアップ形式で追加されていくのでしょうか。

打越さん:
ダウンサイドは「誰もが一度は経験するかもしれない、自分の力だけでは乗り越えることが困難な状況」と考えています。「思いきり働ける環境」を提供するためには、そういった本人の力ではどうしようもできない部分をケアすることは必要です。

今後さらに組織が多様化するにつれてダウンサイドケアの種類も幅が必要になると思いますが、アンケートを実施して社員が希望する制度を導入しているわけではありません。

-社員の方がマインドフルネスを実践されているという記事を見かけたのですが、これらはmerciboxの制度とは別の制度での取り組みだったのでしょうか?

打越さん:
普段から有志が集まり色々なことを実施していますね。マインドフルネスもその取り組みの一つで、マインドフルネスに詳しい社員が有志となって社内で仲間を集めて、取り組みを始めました。

幸野さん:
これは社内コミュニケーション施策のひとつの部活動支援になります。部署間を超えて社内コミュニケーションを活性化させることを目的として、「5名以上のメンバーが集まればOK」という条件を満たせばその活動費の一部を会社が負担するというものです。そのため「○○が好きなので、○○部を立ち上げます!」と宣言して立ち上がる部活もあり様々なものがあります。

例えば、健康に関するものでは社員が集まりヨガや筋トレを通じてコミュニケーションを深めるといったユニークな部活もありますし、パパママ社員がSlackの中で緊急事態宣言中の子供との接し方や悩みを共有したり、地域の保育園事情を共有したり同じライフステージの社員が気軽にコミュニケーション出来るコミュニティもあります部活動ではありませんが、コロナ禍にはグループ会社である鹿島アントラーズが運営するカシマウェルネスプラザ(カシマスタジアムに併設されているスポーツジム)が、リモートワークで運動不足となっている社員向けにパーソナルトレーニングやサーキットトレーニングなどのプログラムをオンラインで提供する取り組みもあり、私もこれに参加させて頂き非常にリフレッシュできた経験があります。

-ビジネスパートナーの関係性を超えて、互いに助け合う関係性が社員同士にあるんですね。

打越さん:
そうですね。バリューに共感をして集まっているので、仲間意識や助け合いの意識は強い会社だと思います。

-以前、「ニューノーマルワークスタイル」にお話をされていた講演の中で、「ニューノーマルワークスタイル」で大切にしている言葉にウェルビーイングというキーワードがあったのですが、会社全体としてウェルビーイングの指標があるのでしょうか?

打越さん:
ウェルビーイングは重視していますが、何か特別な指標があるわけではありません。ウェルビーイング は人それぞれ解釈や基準が異なるため、会社が定義付けするのは難しいと思っています。

そのため、メルカリとしては健康になるための選択肢や働き方の選択肢を増やすことでウェルビーイングを実現していきたいと考えています。いろいろある選択肢の中から各自が自身のウェルビーイングにあったものを選択することで各自がウェルビーイングを実現していくイメージです。

-健康経営に関わる情報発信という位置付けの中で伺いたいのですが、今後社員の健康をサポートする上で、食事、運動、メンタル、睡眠などに分けた時に関心がある分野はありますか?

打越さん:
個人的には社員の運動不足の解消には興味があります。今後も在宅勤務が長期化する可能性を考えると、企業がサポートしてくことも考えていかなければいけないと思っています。また、在宅勤務におけるメンタルケアも大切です。

もともとメルカリでは産業医がメンタルケアのサポートを行っていたのですが、コロナ禍になりケアの幅を広げるために産業カウンセラーの資格を持っている保健師と新たに契約しました。

今は面談やカウンセリングはオンラインで実施しています。こういった社員のメンタルケアは引き続きやっていきたいですね。

-コロナ禍に合わせた環境の変化に合わせた働き方のアップデートをするにはまずは何から始めたらいいのでしょうか?

打越さん:
私たちは何のために働き方をアップデートするのかを議論する必要があると思います。メルカリの場合それがミッションの達成になります。ミッションの達成のためには中長期的にみて競争力のある組織づくりが必要になります。

コロナにより人の価値観や働き方が大きく変わってしまいました。そのため色々なものを変える必要があり目の前の課題に目を奪われがちですが、そもそも私たちは何を達成するために集まったのか、に立ち返った議論が必要だと思います。アップデートはそれからです。

-新しいことを始めても反発を受け、スタート地点に立てずに終わってしまうという声もよく耳にします。最後にそのような方へ何かアドバイスがあれば教えて頂きたいです。

幸野さん:
前提として社員が一体感や当事者意識を感じられるようなカルチャーの醸成は必要だと感じます。例えばメルカリではコロナ禍でリモートワークとなるなか経営層が率先してオンラインでコミュニケーションを取れる機会を作り、私個人としても逆に経営との距離を近く感じる機会が多くありました。

このような機会に自らが参加することによって、経営層のメッセージをよりダイレクトに感じられますし、参加した社員の意見も汲み取りながらインタラクティブなコミュニケーションで進めてくれるため、より社員の当事者意識も高まるかと思います。

打越さん:
メルカリではオープンにディスカッションする文化があります。「みなさんの意見を聞きたいのでこの時間にディスカッションしましょう。ぜひ参加してください」と募集します。ディスカッションでは一つのドキュメントにみんなで一斉に意見を書いて、その内容をもとにディスカッションをします。

これが社員を巻き込み、社員が会社を自分ごと化して考えることにつながっています。ディスカッション以外にも業界のトレンドのお題で役員同士がオンラインで対談して、それを社内で発信しています。物理的に会わなくても、経営層との距離の近さを感じることができる機会を作ることで、当事者意識を持つきっかけに繋がってくると思います。

編集後記:

メルカリ社の提案する新しい働き方「ニューノーマルワークスタイル」のお話を通じて、圧倒的なスピード感と変化へ対応する秘訣についてお伺いさせて頂きました。優秀な人材の坩堝として有名な同社では、個々が発揮する価値に対して、共通の認識があり、その中で、多様性を活かした、議論が活発に行われている文化が根付いていると強く感じます。

同社が展開する「ニューノーマルワークスタイル」もこの文化の中で生まれた新しいテーマであり、ご担当されている打越さん,幸野さんを始めとした全員が会社をより良くするために、「ベストな働き方ってなんだろう?」という当事者意識を持って取り組まれています。

このような取材を通じて、スピード感と対応力を生み出すための土壌作りをしっかり固めることの重要性について学ばせて頂きました。この度は取材にご協力頂きありがとうございました。

ビズヨガでは健康経営や従業員の健康増進に積極的に取り組まれている企業様に取材を行わせていただいております。
取材を希望される企業のご担当者様は、下記よりお問い合わせ下さい。
https://bizyoga.jp/contact/

株式会社メルカリのコーポレートサイト
https://about.mercari.com/